ファクタリングは銀行などの融資に比べると、最短即日で現金化できるため、中小企業にとっては大変役に立つ資金調達方法であることから、近年注目されています。
しかし、現状ではファクタリングに関する法整備が整っているとは言い難い状況です。
ファクタリング業者の中には、悪徳業者(反社会的勢力)と関係している業者もいることから、多くのトラブルも発生しています。
そこで、この記事ではファクタリングで資金調達する際によくあるトラブルを紹介するとともに、注意すべき点についても解説します。
資金調達でよくあるトラブル
ファクタリングによる資金調達でよくあるトラブルの中には、ファクタリング業者、ファクタリング利用者それぞれに問題がみられるトラブルがあります。
ファクタリング業者、ファクタリング利用者の順に問題のあるトラブルを紹介します。
・契約内容をよく確認しなかった。
例えば、ファクタリング業者と債権譲渡契約(2社間ファクタリング)を結んだA社は、本来売掛先に売掛債権を請求後、ファクタリング業者に売掛金を支払わなければなりません。
しかし、A社が契約内容をよく確認しなかったことから、売掛金の支払いを忘れてしまい、債務不履行になってしまったケースがあります。
・契約書を作成せず、口頭のみで契約してしまった。
・契約書を作成しなかった、もしくは発行してもらえなかった。
トラブルになって訴訟に発展した時、契約書がなかったら、違法な契約内容を指摘したとしても、その契約書がない限りその主張は認められません。
そのため、契約書を作成し保有しておくことは、とても重要になります。
・法外な手数料を要求された。
ファクタリングの手数料の相場は、以下の通りです。
・2社間ファクタリング:10%~30%
・3社間ファクタリング:1%~10%
・2社間ファクタリングにもかかわらず、売掛先に債券譲渡通知を送付された。
2社間ファクタリングのメリットは、売掛先に知られずに現金調達できることですが、ファクタリング業者から売掛先に債権譲渡通知が送付されたら、売掛先にファクタリングしたことが知られてしまいます。
その結果、売掛先から資金繰りの悪化を疑われてしまい、取引が中止されてしまう恐れがあります。
・債権譲渡契約にもかかわらず、担保や保証人を要求された。
・ファクタリング業者が悪徳業者(反社会的勢力)だった。
・(2社間ファクタリングで)債権を回収したお金を使ってしまった。
ファクタリング契約を結んだ時点で、売掛債権の所有権はファクタリング業者に移転しているため、ファクタリング利用者が売掛先から回収したお金を使ってしまったら、業務上横領罪などに問われる恐れがあります。
・ファクタリング審査において虚偽申告してしまった。
この場合、審査に通らない可能性があります。
・2社のファクタリング会社と債権譲渡契約を締結したところ、二重譲渡になってしまった。
→ファクタリング業者Aとファクタリング契約を結んだにもかかわらず、ファクタリング業者Bともファクタリング契約を結んでしまった場合、二重譲渡になってしまいます。
この二重譲渡が悪質な場合、法的措置を取られる恐れがあるので注意が必要です。
注意点
ファクタリングによる資金調達でよくあるトラブルを紹介しましたが、このようなトラブルを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
ファクタリングによるトラブルを防ぐには、ファクタリング利用者が注意すべきポイントを把握し、ファクタリング業者と契約する際に、その注意点を慎重に確認する必要があります。
ここでは、ファクタリングによる資金調達する際の注意点について解説します。
- 契約書に不明な点があったら、確認して納得いくまで契約を締結しない。
- 契約したら契約書の控えを貰い大切に保管する。
- (一般的に)契約書は2通作成し、それぞれ1通ずつ保有する。
- 手数料の相場と比較して、手数料が高すぎないかを確認する。
- 自社に合った方法(オンラインor 対面)で契約する。
→急いで現金を調達したい方はオンライン。
直接会って顔を合わせないと不安という方は、対面での相談・契約をおすすめします。
・(2社間ファクタリングの)取引終了後、債権譲渡登記を抹消する。
ファクタリング契約する際、債権譲渡を登記することがあります。
債権譲渡登記とは、第三者に債権が譲渡されたことを証明するためにおこなわれます。
しかし、取引終了後この債権譲渡登記を抹消しないと、別のファクタリング業者と契約する場合、二重譲渡とみなされる恐れがあります。
・債権譲渡通知の有無
2社間ファクタリングの際に、売掛先に債権譲渡通知が渡ると、資金繰りの悪化を疑われてしまうからです。
・償還請求権の有無
ファクタリング業者が買い取った売掛債権が、売掛先の倒産によって回収できなくなったとします。
この場合、ファクタリング業者がファクタリング利用者に対して、売掛金の支払いが請求できます。
この権利を償還請求権と言います。
ただし、ファクタリングの場合、原則として償還請求権はありません。
・損害賠償や違約金は契約上どうなっているか
ファクタリング契約上の義務を果たせなかった場合、損害賠償や違約金はどのように定められているのかを確認します。
まとめ
ファクタリングで資金調達する際によくあるトラブルを紹介するとともに、注意点についても解説してきました。
ファクタリングはすぐに資金調達したい場合にはとても便利な方法なのですが、一方でトラブルが多いのも事実です。
悪徳業者に関わってしまわないように、ファクタリングを利用したいときは、契約書の確認を怠らないなど細心の注意を払って利用する必要があります。
この記事で解説した注意点を把握した上で、ファクタリングを利用すれば、ある程度のリスクは回避できますので、ぜひ参考にしてみてください。
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