個人事業主や中小企業にとって、資金繰りが悪化した際に頼りになるのは銀行融資ですが、より短期間で資金調達できる手段として、急速に普及しているのがファクタリングです。
しかし、中小企業の中にはファクタリングについて耳にしたことはあるけれど、本当に利用していいものかどうか迷っている企業も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事ではファクタリングで資金調達する時に注意すべきことについて、ファクタリングとは何かを説明した上で解説しますので、是非ご覧ください。
そもそもファクタリングとは
ファクタリングとは、売掛金などの売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、現金化が可能となるサービスのことです。
本来、売掛債権は後日代金を請求して、売掛先会社から代金を回収することにより消滅します。
しかし、自社の資金繰りの悪化によって資金調達が必要になった場合、期日前に売掛債権を譲渡することにより、短期間(通常、即日~数日)で資金調達できるのがファクタリングです。
個人事業主や中小企業にとって、ファクタリングはとても便利な資金調達方法です。
というのは、本来利用できる銀行融資よりも、短期間で資金調達が可能となるからです。
ファクタリングの審査は、銀行融資の審査よりも通りやすいため、ファクタリングは中小企業にとって重要な制度になっています。
そのため、ファクタリングは近年急速に普及している資金調達方法となります。
ただし、ファクタリングが近年急速に普及しているといっても、ファクタリング会社を利用する際には注意が必要です。
なぜなら、銀行のほうがファクタリング会社よりも信用力が高く、ファクタリング会社の中にはヤミ金業者などの悪徳業者が存在する可能性が高いからです。
そこでファクタリングで資金調達する際に注意すべきことについて解説します。
注意すべき点
1.銀行融資と比較した場合の注意点
銀行融資とファクタリングの違いを解説するとともに、ファクタリングで資金調達する際に注意すべき点について解説します。
銀行融資と比べた場合、ファクタリングのメリット・デメリットを挙げると次のようになります。
【ファクタリングのメリット】
・短期間で資金調達が可能
・ファクタリングは融資ではなく、債権譲渡であるため返済義務がない
【ファクタリングのデメリット】
・銀行融資のように金利はかからないが、手数料が高い
・ファクタリングを利用する際、ヤミ金業者に注意する必要がある
ファクタリングの注意すべき点は、ファクタリングのデメリットの部分です。
まず、銀行融資の場合、一般的に10%程度の金利がかかりますが、ファクタリングの場合は、1~30%程度の手数料がかかります。
ここで注意すべきは、銀行融資の金利が年利であるのに対し、ファクタリング手数料は1回につき1~30%かかるということです。
2社間ファクタリングの手数料は10~30%程度(3社間ファクタリングの手数料は1~9%程度)かかるので、銀行融資の金利に比べるとかなり高くなっています。
このようにファクタリングは手数料が高いため、そう何回も使える方法ではありません。
次に、ファクタリングを利用する場合、ヤミ金業者に注意する必要があります。
この点については、金融庁もホームページなどを通じて、注意喚起を行っています(「ファクタリングに関する注意喚起」金融庁ホームページ)
この文書によると、ファクタリングを装って貸付けを行っている、(貸金業登録を受けていない)ヤミ金業者がいるということです。
そのため、以下の点に注意したほうがいいでしょう。
・ファクタリングは「債権譲渡契約」のため、「金銭消費貸借契約」となっていないかを確認する。
・ファクタリングの手数料が不当に高くないかを確認する。
2.ファクタリングの利用におけるその他の注意点
ファクタリングを利用する際には、上記以外にも注意点があります。
上記以外の主な注意点として、次の4点が挙げられます。
・手数料を知るには見積もり依頼が必要
・売掛先にファクタリングしたことを知られるリスクがある
・債権譲渡登記が必要な場合がある
・担保や保証人は不要
・手数料を知るには見積もり依頼が必要
ファクタリング手数料は、銀行融資の金利と比べると高いと解説しました。
では、実際にファクタリング会社を選ぶ際、各社の手数料を知るには、どうすればいいのでしょうか。
もちろん、各ファクタリング会社の公式サイトを見れば、手数料が掲載されていますが、あくまで目安なので、実際に審査を受けてみなければわかりません。
そこで、ファクタリング会社に申し込む前に、見積もり依頼をすれば、手数料を知ることができます。
その場合、複数のファクタリング会社に見積もりを依頼すれば、手数料を比較することも可能です。
・売掛先にファクタリングしたことを知られるリスクがある
ファクタリングを利用する場合、売掛先にファクタリング、つまり債権譲渡したことを知られるというリスクがあります。
では、どうして売掛先にファクタリングをしたことを知られることが、リスクなのでしょうか。
それは、ファクタリング(債権譲渡)すると、売掛先に「資金繰りが悪化しているのではないか」と疑われるおそれがあるからです。
さらに注意が必要なのは、ファクタリングの種類によっては、売掛先にファクタリングすることを通知する必要があるという点です。
ファクタリングには、次の2種類があります。
・2社間ファクタリング
・3社間ファクタリング
2社間ファクタリングは、ファクタリング利用会社とファクタリング会社の2者によるファクタリングで、売掛先にファクタリングしたことを知られる可能性は低いです。
一方、3社間ファクタリングは、上記の2社に売掛先を加えた3社によるファクタリングのため、ファクタリングすることを売掛先に知られてしまいます。
そのため、売掛先にファクタリングしたことを知られたくない場合は、3社間ファクタリングではなく、2社間ファクタリングを利用する必要があります。
・債権譲渡登記が必要な場合がある
2社間ファクタリングを利用する場合、ファクタリング会社によっては、債権譲渡登記が必要な場合があります。
というのは、債権譲渡登記をすると、ファクタリング会社は債権を所有していることを第三者に主張することができるからです。
このように債権の所有を第三者に主張できることを対抗要件と言います。
しかし、債権譲渡登記とは、債権を譲渡したことを公表する手続きなので、売掛先にファクタリングしたことを知られる可能性があるというデメリットがあります。
そのため、売掛先にファクタリング利用を知られたくない場合は、2社間ファクタリングを利用し、かつ債権譲渡登記なしのファクタリング会社を選ばなければなりません。
・担保や保証人は不要
ファクタリングは売掛債権の譲渡のため、銀行融資のような融資ではありません。
そのため、銀行融資のように担保や保証人は必要ありません。
ファクタリングが、銀行融資より資金調達しやすい理由の1つです。
ファクタリング会社の選び方
ファクタリング会社を選ぶにあたって、重要なポイントは次の通りです。
・手数料
・資金調達までのスピード
・買取可能額
・オンライン対応
・手数料
ファクタリング手数料は、3社間ファクタリングよりも2社間ファクタリングのほうが高くなっています。
2社間ファクタリング 10~30%程度
3社間ファクタリング 1~9%程度
というのは、3社間ファクタリングより2社間ファクタリングのほうが「未回収リスク」が高いからです。
例えば、3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛先から直接、売掛金を回収するのに対し、2社間ファクタリングでは、ファクタリング利用会社を通して、売掛金を回収するため、未回収リスクが高くなります。
ファクタリング手数料は、低いほうがお得になります。
それは、受け取る現金が多くなるからです。
ただし、ファクタリング手数料が高すぎる場合は、悪徳業者である可能性が高いので注意が必要です。
・資金調達までのスピード
ファクタリングの最も大きな特徴の1つは、資金調達までのスピードが速いことです。
しかし、ファクタリング会社によって違いがあります。
そのため、最短即日で資金調達したい場合は、最短即日の現金化に対応しているファクタリング会社を選ぶ必要があります。
最短即日の現金化に対応しているかどうかは、公式サイトにも掲載されていますが、直接連絡して確認したほうが確実です。
・買取可能額
ファクタリング会社の中には、売掛債権の買取可能額を設定している会社があります。
ファクタリング会社の規模によって、少額対応している会社もあれば、1億円を超えるようなファクタリングに対応している会社もあります。
少額対応している会社は、法人だけでなく、個人事業主やフリーランスにも対応しているファクタリング会社に多いです。
一方、1億円を超えるファクタリング会社としては、銀行系ファクタリング会社などがあります。
・オンライン対応
新型コロナウイルス感染症の拡大によって増えてきたのが、オンライン対応のファクタリング会社です。
オンライン専門のファクタリング会社があるほか、対面とオンラインの両方に対応しているファクタリング会社もあります。
オンライン対応のファクタリング会社を利用すると、「最短即日で現金化できる」「コストを削減できる」などのメリットがあります。
まとめ
この記事では、ファクタリングで資金調達する際に注意すべき点について、ファクタリングとは何かを説明した上で解説していきました。
ファクタリングは短期間で資金調達が可能で、借入ではなく債権譲渡なので、個人事業主や中小企業にとって大変便利な制度です。
一方で手数料が高く、ヤミ金業者に注意する必要があるなどのデメリットもあります。
そのため、ファクタリングで資金調達する際には、本当に信用できる会社なのか注意する必要があります。
この記事がファクタリングで資金調達する際の参考になれば幸いです。
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